平成二十八年五月二十九日、天台寺門宗の立宗一千百五十年慶讃大法要が総本山園城寺金堂において奉修された。 当日は天候にも恵まれ、福家英明長吏猊下の大導師のもと讃衆十五名は、午前十時五十分に唐院潅頂堂を出発、金堂前庭に設けられた庭儀梵場で庭讃が奉唱された。 その後、讃衆は金堂に入堂、法楽鐘を合図に大曼荼羅供が営まれた。厳粛な雰囲気のなか三井流声明が始まると三井古流煎茶道による献茶が行なわれ、本尊弥勒仏、金色不動明王、智証大師の三所に奠供された。 法要後、村上法照宗務総長は、謝辞のなかで「この法要を機に智証大師の済世利人のみ教えを現代の人々に伝え、仏国土のような平和で平等な世界の実現に向けて全力を尽くしていく」と力強い決意を開陳された。
午後二時からは、会場をびわ湖大津プリンスホテルに移し、祝賀会が開催された。 開宴冒頭、福家英明長吏猊下から謝辞が述べられ、東伏見慈晃青蓮院門跡ご門主、鷲尾遍隆石山寺座主、水尾寂芳延暦寺副執行から祝辞を頂いた。続いて各界の来賓による鏡開きが行なわれ、石丸正運信徒総代の乾杯の発声により祝宴となった。会場は終始和やかに歓談が交わされ、多くのご来賓と共に立宗一千百五十年を祝った。
天台山国清寺の允観住持はじめ役僧四名を含む総勢八名が去る七月一日、三井寺を表敬訪問され、光浄院客殿において長吏猊下はじめ村上法照宗務総長らと懇談された。 席上、一昨年に住持に就任された允観住持に長吏猊下、村上宗務総長よりお祝いの品が贈呈された。 天台山国清寺は、六世紀に天台大師によって中国浙江省に創建された天台宗発祥の古刹である。智証大師も滞在した法縁の深い寺院で、一九九九年に智証大師一千百年大遠忌を記念して国清寺境内に顕彰碑「円珍亭」建立している。允観住持からは、当時の宗務総 長として顕彰碑建立に奔走された故・小林慶存師の思い出が披露された。 その後、初めての三井寺訪問となる一行は、福家執事長の案内で、諸堂を巡拝され、金堂では法楽が捧げられた。昼食では当山の精進料理を食べられなど和やかに歓談の時が過ぎ、両山の友好を深める有り難い機会となった。