歴史の重みを秘めた広い境内　琵琶湖を眺望する観音堂

　本朝四箇大寺の一つに数えられる古刹。幾多の法難を乗り越え、天台寺門宗の総本山として栄えてきた。壮大にして緑あふれる境内には、近江八景で有名な「三井寺の晩鐘」など見所も多い。また南北朝時代から桃山時代の建物をはじめ数多くの寺宝が伝わり、質の高さも全国屈指を誇る。西国札所の観音堂は南東部の一角、大津の町並みと琵琶湖を眺望する高台にある。

如意輪観世音菩薩

　智証大師が香木に彫刻して安置したのが始まりだが、後年、延久四年(1072年)、山上の寺に移祀された。ところがある夜、寺中の僧たちが揃って、ご本尊が「山を折り、人々の参詣しやすい地に移って衆生を救いたい」と告げる夢を見た。そこで協議した結果、文明十三年（1481)、観音堂は現在の位置に移ったとされている。