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平家物語と三井寺

蓮如上人縫いの名号

 2012年、今年のNHK大河ドラマ「平清盛」の放送が始まりました。
 平清盛が生きていた時代(1118〜1181年)、当山は源氏と深く結びつき源平争乱に関わりました。
 京都祇園祭の山鉾「浄妙山」は、宇治川の戦いにおいて、三井寺の僧兵浄妙坊と一来法師が平氏を相手に奮戦しているところを表現しています。
 当山はこれを機に、当時の三井寺の様子や僧兵浄妙坊を広く知って頂きたいと思っています。

三井寺と新羅源氏

 源氏と三井寺との間には深い関わりがありました。源頼義は前九年の役(1051年)出陣の際に、三井寺と新羅明神に参拝し武功を誓い、その三男義光は新羅明神で元服し新羅三郎と称されました。頼義は前九年の役を平定した後、子息の快誉を三井寺の僧侶とし、三井寺別院の尾蔵寺境内に祠を建て、石清水八幡宮を勧請して三井寺の鎮守としました。これが鴿尾(はとのお)八幡宮(新八幡宮)です。現在は尾蔵寺、鴿尾八幡宮ともに廃寺となり、大津市立の長等公園となっています。これ以後も、義光が子息の覚義を出家させ、三井寺北院に金光院を創建するなど、源氏から三井寺に多くの僧が入り、その関係は深まっていきました。

義光の墓  重文・園城寺境内古図



三井寺と源平争乱

 平治元年(1159年)、平清盛と源義朝の勢力争いに、院内近臣らの争いも加わり戦乱が勃発しました(平冶の乱)。この戦いに清盛が勝利し、義朝は死亡、その子頼朝は伊豆に流され、源氏は力を失いました。
 平治の乱後、平氏は全盛期を迎えました。後白河法皇の第二王子以仁王(もちひとおう1151〜1180年)は、清盛の独裁を善しとはせず、源頼政とともに平氏打倒を企てましたが、事前に露見します。以仁王は三井寺に難を逃れ、頼政と合流したあと、興福寺を頼り奈良へ向かいますが、途中、宇治平等院で休息していたときに平氏の追撃を受け、敵の流れ矢に会い死亡。頼政は平等院で自害しました。現在、その場所は「扇の芝」と呼ばれています。
 これにより三井寺は大きな被害を受けましたが、延暦寺の源氏派などを寺に取り入れて立て籠もり、なおも平氏を脅かしました。平氏はこれを討つべく三井寺に攻め入り火を放ちました。この時、堂塔伽藍はことごとく焼け落ちました。『平家物語』には「伽藍更に跡もなし、三密道場も無し、鈴の声も聞こえず、一夏の花も無し」と、その無残な様子が描かれています。

頼政の墓(平等院)  扇の芝

浄妙坊と橋合戦(宇治川の戦い)

 以仁王と源頼政は三井寺を出て奈良へ向かうとき、多くの三井寺の僧兵を護衛として同行させました。中でも浄妙坊(筒井浄妙)は豪傑でした。宇治川(宇治橋)を挟んで平氏と対峙した時、浄妙坊は橋の上へ進み、大きな声で「日ごろは音にもききつらむ、いまは目にも見たまえ。三井寺にはそのかくれなし。 堂衆のなかに、筒井の浄妙明秀といふ、一人当千の兵者ぞや。われと思はむ人は、寄りあへや、見参せむ」 といい、矢二十四本で十二人を射抜き、 十一人に負傷させました。矢が尽きると、毛沓を脱いではだしになり、橋の行桁を走り渡り、 長刀で向かってくる敵を五人なぎ倒し、六人目に立ち向かううち、長刀は二つに折れたので、 次は太刀を抜いて四方八方をすかさず斬りつけました。その場で八人の敵を斬り倒しましたが、九人目の甲の鉢に刀を強く打ちつけ、刀は折れ川の中に落ちました。戦いのあと、浄妙坊の脱いだ鎧には矢目が六十三も残っていました。『平家物語』には浄妙坊の戦ぶりを「ひとへに死なんとぞ狂ひける」と表現しています。

宇治川  宇治橋

 平等院から奈良方面に向かう途中、木津川市山城町には、以仁王をお祀りする高倉神社があり、以仁王はここで亡くなったとされています。そして、神社のすぐ側には浄妙坊のお墓とされる浄妙塚があります。浄妙坊は最後まで以仁王を護り、以仁王の傍らで力尽きたといわれています。

高倉神社  高倉神社

高倉神社

浄妙坊と祇園祭

 京都祇園祭の山鉾の一つ「浄妙山」は、橋合戦において、敵陣に一番乗りをしたい一来法師が、狭い橋の上で奮戦する浄妙坊の頭上を「悪候、御免あれ」といい飛び越えた一瞬の場面を表現しています。また、この場面は先陣争いではなく、一来法師が浄妙坊をかばうために前に出たともいわれています。
 三井寺境内水観寺の側、西国第十四番札所観音堂へと続く石段の登り口には、浄妙坊を祀る祠があります。毎年7月、浄妙山保存会が祇園祭にあわせてここを訪れ、当山僧侶が供養し、山鉾巡行の無事を祈願しています。


参考 : 『寺門伝記補禄』 『平家物語』 『大津市史』
リンク : 浄妙坊と平家物語 平家物語と三井寺




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