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春

さざなみや 志賀の 都はあれにしを 昔ながらの山桜かな

 平清盛の弟忠度が「平家物語」で詠んだ歌である。かつて、大津京があったあたりの桜を詠んだといわれている。 大津京(六六七〜六七二年)はわずか五年で滅び、時代が変わり五百年の時をへて、 忠度は荒れ果てた大津京の姿をまのあたりにし、栄枯盛衰を感じこの歌を詠んだのであろう。

 三井寺はその政変の表舞台を凝視つづてけてきた。 大津京に遷都した天智天皇没後、長子の大友皇子(弘文天皇)を擁する近江朝廷に対して、 その弟大海人皇子(天武天皇)が反乱を起こし、激しい戦の後、大友皇子は敗れかつて境内の一郭であった長等山崎において自害する。 世に言う壬申の乱である。三井寺は天智天皇の一族や壬申の乱で敗死した人々の菩提を弔うため建立されたいう。



歴史と文化が織りなす名刹三井寺。

 三井寺の桜はおよそ一千余本。四月はじめソメイヨシノや山桜が広大な境内を淡いピンク色に染める。 陽気に誘われて散策する姿は後をたたない。なかでも、疏水にかかる石橋「鹿関橋」から飛び切り上等のカメラを構えた カメラマンがところ狭しとシャッターチャンスをうかがっている。頑丈な石橋が壊れるのではと心配するほどの数である。

夕闇せまる参道の桜は夢心地。

 仁王門から入って右手、釈迦堂の庭園では、三井古流煎茶道家元が催すお茶会がある。 桜花爛漫の日だまりの中、大勢の人で賑わう。境内にヒラヒラ花びらが舞い落ちるさまは一幅の名画を見るようである。

 国宝金堂を過ぎ、落ち着いた参道が続く。その両側の桜は、幹も堂々とした樹木で立派な花を咲かす。

 桜の開花に合わせて、境内全域はライトアップされ、その輝きは目をみはるばかりである。 観音堂へ向かう石段の左右の桜も見事だ。毎年、観音堂前展望広場で開催される 「三井寺夜桜コンサート」は大津市民にとって、春の一大イベントである。



風薫り、移る季節は新緑へと向かう。

 新緑に輝く境内には西国三十三所巡りの白衣に身を包んだ巡礼者が目立つ頃「千団子祭り」(五月十六、十七、十八日)が催される。

 智証大師の守護神、鬼子母神を祀る護法善神堂は「千団子さん」の呼び名で親しまれている。 当日は、本尊護法善神立像を開帳し、千の団子を供え、子供の無事成長を祈願する。 また、堂前の放生池では人々の願いをこめた霊亀を放す放生会が行われる。境内では植木や苗市、様々な露店が軒を並べ多くの参詣者で賑わう。







秋

長等の山が錦秋に染まる

まだ仏縁に恵まれなかったころから、なぜか私は三井寺が好きでよく訪れていた。 それはもしかしたら、琵琶湖の見えるこの寺の広々とした、 いつでも森閑とした清浄な雰囲気に魅せられていたのかもしれない…

瀬戸内寂聴さんの著書『古寺巡礼、三井寺』の冒頭部分である。

三井寺にいます多くのみほとけを守るがごとくやさしく抱き込む長等の山々は、 古来よりの歌枕として知られ、多くの作家や歌人を引き寄せてきた。

三十六歌仙の一人、平兼盛も「楽浪や長等の山の長らへば久しかるべき君が御代かな」の一首をのこしている。




四季折々、異なった表情をみせる三井寺は、長等の山並みが錦秋に染まる季節、 夕映えの深い木立のなかから堂塔が茜さすころ、三井寺の秋は、ことのほか、美しい。

十一月に入れば、紅に染まる境内は多くの参詣者で賑わう。 境内は駐車場とその取り付け道路以外、舗装されていない。 参詣者には多少歩き辛く難儀を強いることになるが、自然のまま残された地道を歩く。 散り積もった様々な形の紅葉を踏みしめ、幾千年もの長い歴史で踏み固められた道を歩む。

仁王門から、その右手の釈迦堂(食堂)を経て、紅葉に取り囲まれるように急な石段を登る。 金堂(国宝)にたどり着き、御本尊弥勒菩薩を拝する。金堂から真っ直ぐ伸びる参道の両側、 自然石を積み上げた穴太積みの石垣越しの紅葉や、観音堂へ続くなだらかな石段の左右の紅葉も美しい。




ここ長等山裾はことの他、朝晩の気温差が激しく、一気に震えがくるような寒さに襲われる事がある。 紅葉の美しさは、温度差によるところが大いに影響すると言われている。 締めつけるような寒さの中、刻一刻変化する自然の営みに目を向けることも忙しい現代生活に必要な事ではないだろうか。


本格的な秋に向かって

十月二十九日は開祖智証大師のご命日。大師の遺徳をしのび、御正忌会大法要が唐院で厳かにとり行われる。 また、この日は秘仏・智証大師坐像(国宝、中尊大師)の御開扉があり、法要後一般参詣者に公開される。 同時に御正忌記念、紅楓茶会が勧学院客殿(国宝)にて紅葉の下、三井古流煎茶道壷中会のお点前で華やかに行われる。





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