吉野葛の精進かつお
中央・吉野葛の精進かつお 右・いかの糸造り
刺身にコンニャクを使うのは一般的だが、今回ご紹介する「吉野葛の精進かつお」は葛(くず)を使用する。
コンニャクをそのまま刺身にすることは昔も今も一般的である。湖東にある名刹永源寺の刺身コンニャクは有名である。
しかし、葛を使った刺身はあまり作られることはなく、今回の「吉野葛の精進かつお」は
かつおの美味しいこれからの季節、ぜひお試しいただきたい一品である。
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材料の吉野葛 |
(1) まず、鍋に吉野葛100グラムを入れ、水300ccを加え、よくかき昆ぜる。
だまがなくなるまでまんべんなくかき混ぜて、中位の梅干し3〜4個分を裏ごしたものを入れ、
さらにかき昆ぜる。ていねいにかき混ぜていくと、薄っすらとピンク色になる。
時どき梅を押しつぶすようにすりつぶしながら、なおかき混ぜる。
この料理のポイントは、この工程にあるといっても過言でない。
葛を水に入れ よくかき混ぜる |
梅干しを4〜5個用意 |
梅干しをていねいに うらごしする |
葛の中に入れ、 ていねいにかき混ぜる |
(2) 全体に薄ピンク色になったら、こし器を通してその溶液を別の鍋に移し、火にかける。
しゃもじでゆっくりかき混ぜながら、中火で煮る。この時うま味調味料を加える。
しばらくかき混ぜていると、ゼリー状に固まってきて、じょじょに色が濃くなり鮮やかなピンク色になってくる。
(3) 常にしゃもじで焦げつかないようにかき混ぜながら耳たぶほどの柔らかさになったら、
大さじ一杯ほどの水を加えさらにかき混ぜて型に流し込み冷やす。
トロ火で煮立てる |
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(4) 充分熱が引いたところで冷蔵庫に入れ、さらに冷やす。包丁で切る直前、
下の写真のように鮮やかなピンク色になれば「吉野葛の精進かつお」は成功といえよう。
型に入れ冷蔵庫で冷やす
(5) 後は、包丁で好みの大きさに切りわけ、ワサビと醤油をそえる。
また、いかの糸造りも同様、葛で作ることが出来る。梅干しの代わりに、
生姜の絞り汁を少し加え、後は精進かつお同様の作業で透明感のある「いかの糸造り」が完成する。
いかの糸造りは生姜醤油でいただくとなお、風味が増す。シコシコ感と、梅の爽やかさや、生姜の香
りが、微かに口の中に広がり刺身よりいっそう涼やかで、どこかフルーティな香りのある一品である。
ぜひお試しください。
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