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観音 西国三十三所観音霊場第十四番札所・三井寺観音堂 観音さんは、私たちに最も身近なほとけである。慈悲深く、人々に最も慕われているほとけである。苦難に直面したとき、「南無観世音菩薩」と一心に称えれば、観音は即座にその苦しみを聞き、われわれに温かい救いの手を差し伸べてくれる。仏教の深遠な教理を説くのでなく、あらゆる衆生の現世の願いを叶えてくれるのである。
観音は大乗仏教の成立とともにある最も古いほとけの一つだが、原形は古代イランのゾロアスター教の女神、水を司る女神だと考えられている。ほとけというが、正しくは菩薩であり、菩薩というのは、衆生を救おうと立てた誓いを成就するとき、ほとけになる者をいう。しかし観音は、その前は正法妙如来というほとけであり、いまの修行を終えたとき、今度は光明功徳仏というほとけになる。現在、菩薩の身であるのは、衆生のより身近にいて、衆生のどんな悩みでも聞こうというためである。
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