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茅の輪くぐり


「ぼんのこへんのこ」祭りの茅の輪渡御


ぼんのこ へんのこ さーくえもんの なーすびやーい

 そう囃(はや)しながら氏子の子どもたちは、大きな茅(ち)の輪を担いで、松尾神社(甲西町平松)から御旅所までを巡り歩く。七月三十一日、「ぼんのこへんのこ」祭り。
 茅の輪は直径二メートル余り。笹竹を束ねて、荒縄で縛ったものである。その先に御幣一本と、ナス三個を串刺しにしたものを取り付け、間に六〇センチほどの、真っ黒な木製の男根をブラ下げている。
 「夏越しの祓(なごしのはらえ)」である(ぼんのこへんのこ祭りの場合、あわせて、いまは田の神になった山の神に五穀豊穣を祈る、オコナイの意味合いも持つ)。
 毎月の最初の日、一日を朔日(さくじつ)、最終日、三十日を晦日(みそか)と呼ぶが、六月の晦日は一年の半分が終わる日に当たるから、禊(みそ)ぎや祓えを行なって身を浄め、後半の残り半分の日々に備えた。

神社では、夏越し神事として、社前に茅の輪を設け、参拝者にこれをくぐらせて災厄から逃れてもらう。茅の輪は、元来、茅萱(ちがや)(イネ科)を紙で包み、束ねて大きな輪の形につくった。
 翌日に正月を迎える十二月晦日に「年越(としこ)しの祓」を行なって身を浄め、新年の祖霊祭(正月)を迎えたように、七月の祖霊祭、つまりお盆を迎えるために、禊ぎ祓いとしての夏越しの祓が必要だったと考えられている。

 
ぼんのこへんのこ祭り神事

唐崎神社の一ッ松


唐崎神社社前の茅の輪
 
一方、唐崎神社(大津市唐崎)は、近江八景の一つ「唐崎の夜雨」の主景である一ツ松を有する。山王祭で知られる日吉大社の摂社である。毎年七月二十八、二十九の両日、盛大に「みたらし祭り」が行なわれるが、これも夏越しの祓である。

 みたらしとは御手洗(みたらし)、神社の入口で参詣人が手や口を洗い浄めるところ。かつて唐崎は、琵琶湖の「七瀬の祓所」といわれた一つで、ここで禊ぎ祓いが行なわれていた。

 唐崎神社では夕闇の迫る頃、夏越しの祓が始まる。本殿での式をすませ、神職、参拝者とも茅の輪くぐりをして身を浄めたのち、神職は舟を湖上に出し、護摩木を焚いて、一年間、神前に奉納された祈願串を琵琶湖に流しつつ、祓の神事を行なう。



 
本殿の前庭では巫女(みこ)による湯神楽神事が執行され、煮えたぎった湯の飛沫を浴びると夏に病気をしないとか、湯を飲むと病気も治ると信じられている。二十八日夜、すべての神事が終わると、浜辺では手筒花火の奉納である。
 ちなみに、唐崎神社は病気平癒、特に下の病いや婦人病、夜尿症、痔病などに霊験あらたか。神社で授与される御手洗団子は、食べるみたらし団子のルーツといわれ、竹串に青、黄、赤、白の米粉団子が小さくつけられたもので、三本一組で頂くが、家の門口に飾り、病魔の退散を祈る。陰陽五行の黒がないのは、「苦労がない」ようにとか。







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