第十二番札所 岩間寺
東海道自然歩道を行く
べんべんは、醍醐寺から名神高速道路、京滋バイパスを経て、標高四四三メートルの岩間中腹にある十二番札所岩間寺へ向う。
第十二番札所・岩間寺の正式名は岩間山正法寺である。滋賀県大津市と京都府宇治市の境にまたがる。日本一の桂の大樹林に囲まれた静謐な境内には、東海自然歩道が通り、四季折々の自然が楽しめる山寺である。
養老六年(七二二)、泰澄大師が元正天皇の三十三才の大厄の病を法力で治したことで建立された勅願寺である。泰澄自らが、桂の大樹で等身の千手観音像を刻み、元正天皇の念持仏を胎内に納めてまつったのがご本尊である。この観音さまは、毎夜日没とともに厨子を出て、百三十六地獄を駆け巡り、人々を救済し、岩間寺にもどられるころには汗をびっしょりかかれていたので、「汗かき観音」と呼ばれたという。本堂近くには、泰澄が本尊を刻んだあとの切り株から、再び芽生えたと伝える桂の樹があり、霊木とされている。
また、泰澄が法力によって雷を封じ込めて弟子にしたことから「雷除け」の寺、ことに近年では、「ぼけ封じ」の寺として多くの参詣者が訪れている。
芭蕉も日参した岩間寺
べんべんは静かな境内を散策中、本堂横にある池を発見。この池は芭蕉の池といわれ松尾芭蕉が「古池や蛙飛び込む水の音」という名句を詠んだといわれている。芭蕉が大津市国分にある幻住庵にこもって『幻住庵記』を執筆していたころ、岩間寺に参籠したときに本尊の霊験を得たと言われている。
次にご朱印をいただくために本堂に参る。現在の本堂は十七世紀後期に再建されたもの。奥深い木立に囲まれて立つ。べんべんは本堂にて般若心経をとなえ、納経所にてご朱印をいただく。その後、日本一という桂の大樹を拝み、木立の下の途を奥宮神宮まで行くと展望台が設けられている。べんべんは展望台にて眼下を眺望し、芭蕉をしのんで得意のほら貝を吹くと梵音は深山の大樹林に吸い込まれていった。
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