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第二十五番札所 播州清水寺
べんべんと行く西国三十三所霊場めぐり 秋もすっかり深まった、やや肌寒い日。べんべん一行を乗せた車は、まずは兵庫県加東市の第二十五番札所「播州清水寺」へと向かう。
 滋賀から兵庫へ連なる高速道路を西へ西へと走り、三田西ICを下りて清水登山道を約二キロ登ったところに寺は位置する。田園地帯を行く途中、煙が立ちのぼるのが見えた。加東市に隣接する篠山市でさかんな「丹波立杭焼」の窯だろうか。車中でべんべんが気になることをつぶやく。「あそこには、アレがあるはずべん」。いったい清水寺に何があるというのだろう。


法道仙人と播磨国

 播州清水寺は一八〇〇年前、インドの僧・法道仙人が創建したとされる。清水寺が発行する「播磨国 御嶽山 清水寺」(堀内和男 著)によれば、播磨地域には法道仙人を開基とする寺院や堂宇が多く、仙人にまつわる説話も数多く伝承しているという。清水寺はその代表格で、その名も、法道仙人が水神に祈り水に乏しいこの地に霊泉をもたらしたという伝承に由来している。

 法道仙人がどのような存在であったか、実態は謎に包まれている。インドから中国・朝鮮半島を経て渡来したともいわれるが、実際のところはよくわかっていない。また「仙人」という呼び名にふさわしく「インドから紫雲に乗って飛来し、数十年を経て大光を放ち雲中に飛び入った」とも伝えられ、実在の人物かどうかもはっきりしない。

 ただ、前出の書によると、法道仙人の説話は清水寺縁起にもあるように、水の湧出にまつわるものという点で共通しているという。降雨量の少ない播磨地域の人々にとって、水は格別に有難い自然の恵みであり、それをもたらしてくれる「なにか」は古代より信仰の対象とされてきた。法道仙人が神仙であれ実在の人物であれ、播磨の人々が抱く水の恵みへの感謝の気持ちを象徴する存在であることは間違いない。


大講堂から望む淡路島

山門にて、ご山主猊下と共に 清水寺に到着すると、仁王門までご住職・清水谷善英師が出迎えてくださっていた。山の上にもかかわらず、境内は多くの参拝客で賑わっている。べんべんはいつものように大人気。握手や写真撮影に快く応じながら、まずは札所「大講堂」へ向かう。

 大講堂は七二五年、聖武天皇の勅命により建立された。火災により幾度か消失したが、大正六年(一九一七)に再建。御本尊は「十一面千手観世音菩薩」。本来は脇侍として毘沙門天と不動明王が配されるところ、ここでは不動明王ではなく地蔵菩薩が安置されているのが大きな特徴である。『今昔物語集』の一節で、清水寺が地蔵信仰の聖地とされていることに由来する。

錦秋の境内 べんべんは観音さまに手を合わせ、法螺貝を吹き、御朱印をいただく。参拝を終え、回廊を西側へまわると、色づいた紅葉が一面に広がっていた。べんべんが見とれていると、ご住職が「ここから淡路島が見えますよ」と、南の方角を指して教えてくださる。たしかに木々の間から明石海峡大橋とその向こうの島影が小さく見えた。「ほんとだ!すごいべん!」と、べんべんが飛び跳ねる。直線距離にして約四〇キロも向こうの島まで見渡せる大講堂。参拝の折には、ぜひこれらの風景にも親しまれては。


弁慶の碁盤

 続いて、ご住職の案内で「本坊」へ。
大正六年に竣工した建物で、寺務所や展示会場などに利用されている。この日は偶然にも、べんべんと関わりの深い一品が特別公開されていた。その名も「弁慶の碁盤」。弁慶が書写山(姫路市)にいた頃、播州清水寺に遊びに来て住職と碁を打って負け、腹を立てて石をねじ込んだものだという。
三井寺同様、ここにも弁慶の怪力伝説が残されていた。

 「あったべん!」と、べんべんが碁盤に駆け寄る。車の中でつぶやいていた「アレ」とは、このことだったのだ。興奮ぎみに碁盤を見つめるべんべん。しかし、その顔色はしだいに青ざめていく。「ずいぶん深く埋まってるべん…。べんべんを三里半も引き摺るほどの怪力、このくらいわけもないべん・・・。あの時は怖かったべん・・・!」ねじ込まれた黒い碁石を見て、その昔我が身を谷底に放り投げた弁慶の怪力無双ぶりを思い出したべんべん。八百年以上経っても、べんべんの脳裏に植えつけられた恐怖は色褪せてはいなかった。おそるべし、武蔵坊弁慶。

 そんなべんべんをよそに、取材班は奥の部屋で開催されていた藤村拓太さんの作陶展で酒器(山田錦を育てた土で作られたという珍しい陶器)を購入したりなどして楽しみ、清水寺を後にした。




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