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第二十四番札所 紫雲山 中山寺

べんべんと行く西国三十三所霊場めぐり
御朱印

今回の西国巡礼は、兵庫県宝塚市の第二十四番札所「紫雲山 中山寺」。この日は六月下旬で雨が心配されたが、近畿地方の梅雨入りが大幅に遅れたこともあり、朝から気持ちよく晴れて絶好の取材日和となった。しかし、べんべんは少し浮かない顔をしている。「晴れたのはありがたいけど、暑いのはちょっぴり堪えるべん」確かにこれからの季節、フカフカの体毛で覆われたゆるキャラたちは見ているだけでも暑い。しかし、べんべんは山岳修行で鍛え上げられた僧。並のゆるキャラとは一味も二味も違うたくましさで乗り切ってくれるはずだ。べんべん、今日も頑張っていきましょう。

山門のわらじ祈願
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山門から石畳の参道を進む

三井寺から中山寺までは名神高速道路経由で1時間半程度と、比較的アクセスしやすい場所にある。高速を下りて住宅街の狭い道路を抜けると、中山寺の山門前に到着。二階建ての豪壮な山門の左右には色鮮やかな仁王像が立ち、そのまわりには願いごとを書いたさらしの布がつけられた小さな「わらじ」が数多く奉納されている。願いごとのほとんどは、足腰に関するものだ。交通手段が発達していなかった時代、西国巡礼に自分の足腰が耐えられるよう祈りを込めてわらじを奉納したことから始まったとされる習わしである。「やっぱり全ての基本は足腰べん。べんべんもいっぱい修行して、ますます足腰鍛えなきゃべん!」と、人々の祈りのエネルギーに触発された様子のべんべん。今日もいつものように数々の石段を制し、健脚を見せつけてくれることだろう。

安産祈願の名刹

山門を抜けると、つきあたりの石段までまっすぐな白い石畳が続く。道の両脇には色とりどりの紫陽花が咲き、花の色と石畳の白と空の青とのコントラストがとても美しい。周囲には妊婦さんや子連れの家族の姿が見える。安産祈願で全国的に知られる中山寺らしい光景だ。

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宝塚市の南東に位置する「紫雲山 中山寺」は聖徳太子の創建とされる古刹で、この地に「紫の雲がたなびく」ことから太子によってその名が付けられたと伝えられる。観音菩薩を本尊としたわが国最初の寺院で、かつては西国巡礼の一番札所であったが、後に花山法皇の巡礼順に従い第二十四番札所に改められたという。

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足腰健全を願って奉納された「わらじ」

御本尊は「十一面観世音菩薩」。インドの王妃シュリーマーラー(勝鬘夫人)が女人救済のため自身の姿を模して刻んだ等身像と伝えられ、妊娠・出産の苦を除くとされる。豊臣秀吉が中山寺に祈願して秀頼を授かって以来子授けの寺として広く知られるようになり、さらに幕末には明治天皇の生母・中山一位局が安産祈願をして無事出産したことから明治天皇勅願所となり、安産の寺として篤く信仰されるようになった。

毎月戌の日には安産祈祷会が行われ、全国各地から数多くの参詣者が訪れる。安産祈願をすると「鐘の緒」と呼ばれるさらしの腹帯が授けられ、出産後のお礼参りの際には参詣者が新しいさらしをお寺に奉納する、というのが習わしである。「わらじ祈願の札がさらしでできてたのもそういうことべん。なるほどべん」公式サイトやパンフレットなどもそうだが、中山寺は色々なもののデザインに細かく気が配られている。

バリアフリー巡礼
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寺務所や本堂の方へ続く石段の横には、神社仏閣には非常に珍しくエスカレーターとエレベーターが設置されている。さすがは安産祈願で名高い寺、妊婦さんなど石段上りが負担になる参拝客にも優しいバリアフリー設計だ。寺の景観に馴染むよう、デザインにも工夫が凝らされていて違和感がない。「さ、行くべん」と、べんべんが即座にエスカレーターを選択する。「時代はバリアフリーべん」。一点の曇りもない目でそう言い残すと、悠然と乗り込み上っていった。

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望海楼と呼ばれる山門、正保3年(1646)に建立された。

確かに時代はバリアフリーだ。そしてこの暑い日にべんべんが石段を上るのは大変だ。しかし、つい先ほど口にしたばかりの「足腰鍛えなきゃ」とは一体何だったのか。そして、前号の取材であれほど熱を込めて語っていた「ダイエット」とは一体何だったのか。鼻歌まじりにエスカレーターで運ばれていくべんべんの後ろ姿を眺めながら、筆者は複雑な思いに駆られていた。

かんのんさま登場

まずはお寺の皆さんにご挨拶のため寺務所へ。到着すると、職員の女性たちがべんべんに握手や写真撮影を求めてくれる。黄色い歓声を浴びてご満悦のべんべん。そこへ、中山寺のマスコットキャラクター「かんのんさま」が静かに姿を現した。御本尊・十一面観世音菩薩の姿をしたキャラクターで、観音様らしく物静かでふるまいにも気品を漂わせている。 べんべん「初めましてべん!」かんのんさま「…………」べんべん「わかるべん、お互い暑くて大変べん」かんのんさま「…………」べんべん「あははは、それはさすがに言えないべん!」

一言も喋らないかんのんさまだが、なぜかべんべんとの会話は成立しているようだ。キャラもの同士、何か特別な意思疎通法があるのだろう。べんべん一行は、かんのんさまに導かれて本堂へと向かった。

本堂から青龍塔へ
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中山寺の本堂は天正六(一五六八)年に消失したのち慶長八(一六〇三)年に豊臣秀頼によって再建されたもので、兵庫県の指定文化財である。外部には龍や漠、鳳凰、麒麟などの超獣が彩色豊かに描かれ、華やかな外観となっている。引き続きエスカレーターで上ってきたべんべんは、ここでいつものように御本尊にお参りをして、かんのんさまと記念撮影。べんべんが法螺貝を吹くと、参拝客から歓声が上がった。

続いて、今度はエレベーターに乗り「青龍塔」へ。平成二十九年に再建されたばかりの真新しい五重塔で、塔の青色は仏法を守護する知恵を具えた青龍がこの塔を守っていることをあらわしているという。べんべんとかんのんさまは、ここでもう一枚記念撮影。そして、何かとご多忙のかんのんさまとはここでお別れとなった。 べんべん「今日はありがとうべん。楽しかったべん」 かんのんさま「…………」 べんべん「本当べん?そんな風に言ってもらったの、生まれて初めてべん」 かんのんさま「…………」 べんべん「それはべんべんも同じべん…!また絶対くるべん!!」

何を話したのかさっぱりわからないが、感極まった二人は抱き合って別れを惜しんでいた。ありがとう、かんのんさま。

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「かんのんさま」のお出迎えをうけ、ばっちり記念撮影。

安らぎのべんべん
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青龍塔から奥へ進んでいくと、「大願塔」がそびえている。伊丹城主・荒木村重の乱で信長の兵によって焼き尽くされた塔を約四百年ぶりに復活させたもので、青龍塔より十年前の平成十九年に完成。現在では中山寺を象徴する存在となっている。この日の快晴の青空に、全長三五・六五〇メートルのどっしりした塔の赤がとてもよく映えていた。

大願塔から本堂の方へ戻り、宝塚市内が一望できる広場でひと休み。西の方に目をやると、お椀を逆さにしたような、変わった形の小さな山がみえる。「甲山(かぶとやま)」と呼ばれる山で、千二百万年前に噴火した火山の痕跡とのこと。べんべんは、バリアフリーをフル活用してほとんど疲れていない体をベンチでさらにゆったり休めている。「平和べん…景色も一層美しく見えるべん…」広報僧は忙しい。たまにはこんな日も必要かもしれない。

お寺の中の古墳

広場から下の方へ降りていくと、「中山寺古墳(別名:白鳥塚古墳)」がある。横向きに掘られた通路が奥の石室に続く「横穴式石室」と呼ばれる形式のもので、古墳時代後期の六世紀末〜七世紀初頭に築造された豪族の墓と考えられている。石室の手前まで入って棺を見られるようになっているので、べんべんも通路を進んで中を見学。どうでもいいことだが、通路のサイズにべんべんがぴったりとおさまっていた。

最後に寺務所の横にある納経所へ戻り、御朱印をいただいて参拝を完了。「全然疲れてないべん!バリアフリー最高べん!」お寺から頂いたたくさんのお土産を手にしたべんべんは、軽やかな足取りで車に乗り込んでいった。

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首地蔵にお願い

昼食を済ませたべんべん一行は、宝塚市内を少しだけ観光。訪れたのは、中山寺から程近いところにある「清荒神清澄寺」と、かつて交通の要衝として栄えた「小浜宿(こはまじゅく)」。小浜宿にある「首地蔵」と呼ばれる首だけの巨大なお地蔵様にはべんべんもびっくり。小浜が海であった頃浜に打ち上げられたお地蔵様で、首から上の病気を治してくれるという。「べんべん、頭が重いからちょっと軽くなるようにお願いしとくべん」と、お祈りするべんべん。暑かったり重かったり、色々と大変なのだ。バリアフリーに味を占めるのも無理からぬことかもしれない。

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西宮街道沿いに鎮座する首地蔵        かまどの神さま三宝荒神をまつる清荒神清澄寺

余談だが、べんべんは昼食の間、三井寺にエスカレーターを設置するための費用をスマホで調査していた。しかしその結果についてここで詳しく語るのはやめておこう。

ルート図




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