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法華懺法合同法要 得がたい法要出仕機会に恵まれました。去る10月21日、比叡山延暦寺大講堂におきまして、天台三総本山、すなわち天台宗総本山延暦寺、天台真盛宗総本山西教寺、天台寺門宗総本山三井寺の各本山が一同に会して一座の法要を奉修するというものです。 この催しは、大津市内に総本山を構える三ヶ寺から世界平和・国土安穏祈願、そして文化を発信して、もっと広く多くの方々に湖国大津に来ていただこうとの理念のもと、平成26年から始まったものです。 初年度は延暦寺根本中堂において天台座主猊下お導師のもと、三山合同で世界平和祈願法要を行い、次年度からは三井寺、西教寺本堂において三山それぞれに受け継がれてきた声明公演を行ってきました。 ところが今年度は「法華懺法」を三山がパートを受け持ち、一つの法要を成立させるという今までにない画期的な試みでした。天台寺院におきましては「朝題目に夕念仏」と申しまして、朝に法華経を読誦し、夕べに阿弥陀経を読誦するという勤行作法があります。朝に行う勤行を「法華懺法」といい、夕べに行う勤行を「例時作法」といいます。 「法華懺法」は天台大師智顗(ちぎ)(538~597年)が定めた『妙法蓮華経普賢菩薩勧発品(かんぱつぼん)』に基づいて、我々が犯した六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)の罪障を懺悔する勤行です。寺門宗の「法華懺法」次第を示しますと以下のような構成になっています。 以上の法要の①~⑦を延暦寺さんが、⑧を西教寺さんが(今回は観世音菩薩普門品・陀羅尼品・妙荘厳王本事品を行道して誦経・写真)、⑨~⑬を三井寺が受け持ちました。 三山とも天台寺院ですから、読誦する経典は同じなのですが、読み方も違いますし、何よりも節回しがこれほど違うのには、今さらながら驚きと新鮮さを改めて感じた前代未聞のコラボレーション法要でした。 (梅村敏明) ・「仏教豆百科」一覧に戻る ・「教義の紹介」一覧に戻る |