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なげき
幾度か小声で地下の子を呼びつ 朝露しげき墓地の草刈る
過日、手帳に書きとめていた詠人知らずのこの一首を結びとして、
今号は盆供養について書き始めておりました処、思いもよらない残忍な事件が報じられ、
すぐさま新聞を仏前に供えてご冥福を祈りましたが、
ご遺族の悲憤と多くの子供達の今後の心情を思えば浅い私の心の器にはおさまり難く、
ただひたすらに人々の身心の平安を祈るばかりでした。
何故か原稿用紙を前にしたまま一文字すらも書き進まなかったのは初めてで、
日本の国が内面から蝕まれてゆくような焦りにつつまれてしまいました。
何ものか打たれて泣かぬ 何びとか死を恐れざる 我と我が身にひきあてて 悩めざれまた殺さざれ
何ものか痛きに泣かぬ 何びとか命惜しまぬ 我身愛しと思いなば 惨酷(むごた)らしき心を捨てよ―法句経
遊心庵主・岡部善恵
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