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花まつり

4月8日の釈迦誕生会つまり「花まつり」についてお話をいたします。 花まつりは一般的な言い方で、仏生会、潅仏会、あるいは竜華会と言います。

お釈迦様が紀元前何年にお生まれになったのかといえば、諸説があってはっきりしておりません。 しかし、釈迦誕生地ははっきりとしております。その地はルンビニー。 現在、ネパールの南部に位置し、インドまでは数キロという国境沿いの街です。

お釈迦様はシュッドーダナ(浄飯:じょうぼん)王を父とし、マーヤ(摩耶:まや)を母として誕生されました。

マーヤは出産が近づいたので隣国の実家に戻って出産しようとしたのですが、 途中のルンビニー園で産気を催し、釈尊を出産されたと言われております。 生まれるや7歩歩んで、右手を挙げて「天上天下唯我独尊」と獅子吼されたその時、 天からは甘露が降り注ぎ、蓮の花びらが舞い、妙なる音楽が流れました。

三井寺におきましても4月8日、花御堂(はなみどう)を金堂内、弥勒菩薩御本尊御厨子前に安置し、 長吏猊下を御導師にお迎えして一山僧侶出仕により、 15センチほどの金銅誕生仏に甘茶を潅いで釈尊の誕生をお祝いいたします。

平成7年1月13日、私は聖地ルンビニーを訪ねる機会を得ました。 首都カトマンズからバイラワまで飛行機で飛び、それからジープに揺られて20数キロ。 着いたところは平原の真っ只中。そこに釈尊誕生を示す「石柱」があります。 この石柱こそ、釈迦滅後130年ほど後のこと、 インドを統一支配したかのアショーカ王(紀元前268〜232年在位)が建立したものなのです。

石柱には次のような銘文が刻まれております。 「即位潅頂後20年が過ぎて、この地へ来て祭祀を行った。ここで仏陀 ・釈迦牟尼が生まれたからである。石柵、石柱を建立した」云々と。

この石柱発見(1896年)により、ルンビニーが仏教徒にとってかけがえのない聖地となったのです。

しかも、平成8年2月にネパール政府はマーヤ堂の地下中央石室から「石板」が発掘されたことを受けて、 状況等からも石柱同様これもアショーカ王が残したものとして、 正式に釈迦誕生地と認定した旨が報道されました。 ルンビニーの地に立って釈尊に思いを馳せ、石柱に向かって誦経したときの感動は今も薄れること はありません。




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