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何 仏?

ひょんなことから勧学院の庭から石仏がお姿を現しました。それは四月初旬のことでした。天気も良く、暖かな日でした。私は飼い犬・キチと庭で遊んでおりました。庭といっても、土塀と植え込みに囲まれた、おおよそ200坪くらいの空き地で、今はそめい吉野やしだれ桜が10数本と、あとは梅や檜が植えられています。

 二月中旬になりますと、この空き地一面にフキノトウが顔を出し、ほろ苦い風味を楽しませてくれます。四月中旬には桜が参拝者を楽しませ、土塀から垂れ下がったしだれ桜に多くのカメラマンがベストアングルを求めてシャッターを切ります。そして私は五月にフキを摘んでキャラブキを作ります。

 そんなところに石仏が。いままでどうしてわからなかったのかが不思議でなりません。うかつといえばうかつ。

 発見のきっかけは、地表にわずかに出ていた石につまずいたことからでした。何だろうかと周りの土をすこし取り除いてみますと、返花(仏像を安置する台座に施された装飾部分の名称)と格狭間(須弥檀などにあしらわれる文様)が見えてきました。一見して石塔の一部であることがわかりました。私は石塔の一辺の端にひっかかったみたいでした。

 こうなればキチと遊んでいる場合ではありません。スコップを取り出してきて、周りの土を除き、からみ付いていた木や草の根を丁寧に取っていると、30センチほど離れたところにもうひとつ石があることがわかりました。石塔の一部は方形ですが、こちらの石はずんぐりしています。起こして土を払ってみますと、凹凸があります。即座に石仏だと直感しました。石塔の一部はこの御仏の台座替わりに転用されたものだったのです。いつの時にか何らかの事情で前のめりに倒れてしまって、うつ伏せの状態で永い年月が経ち、殆どが土に埋まって今日に至ったのでしょう。

 水できれいに洗ってあげると、間違いなく石仏に違いありません。石材が花崗岩のため風化が激しく、お顔の表情は残念ながらわかりませんでした。それでもよく観察しますと、印相(仏像の手の組み方)までは確認できませんが、腕の運びからして、どうやらこの御仏は「如来さま」であろうと思われます。

 元のようにお祀りしてあげないといけませんので、まず整地をして、石仏と台座も水洗いしてきれいにしました。そして、もとこうであったであろう東向きに石仏を安置してお勤めをさせていただきました。

 出土した石仏御名は何仏 (梅村敏明)




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