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七難
 

観音経を読誦する場合、先達さんや信者さんの多くは後半部の偈文、世尊偈(世尊名相具で始まりますから、このように言います)を読むことがほとんどです。

世尊偈は前半の長行文の内容をおさらいしたものと言えます。それは世尊(釈尊)と無尽意菩薩との問答です。それではどういったことがこのお二人の間で交わされたのでしょうか。

まず無尽意菩薩が世尊に対して、右肩をはだけ、合掌して「以何因縁 名観世音」(どのような理由で観世音とお呼びするのですか)との問いを発します。世尊は「衆生 受諸苦悩 聞是観世音菩薩」(人々は諸々の苦悩を受けるが、観世音菩薩の救済の功徳を聞き知って)、「一心称名 観世音菩薩 即時観其音声 皆得解脱」(心から観世音菩薩と唱えたならば、即座にその声を観じて、苦悩から解き放って下さるのだ)それ故に観世音菩薩と名付けるのですとお答えになりました。

続いてその救済の内容が語られます。まず「火の難」です。たとえ「大火 火不能焼」(大火に遭っても心から観世音菩薩と唱えたならば、火災から難を逃れることができる)。次に「水の難」では「大水所漂 称其名号 即得浅処」(大水に漂うようなことがあっても、浅瀬にたどり着けることができる)。次に「風の難」では「仮使黒風 吹其船舫 飄堕羅刹鬼国」(仮に暴風雨によって船が流され、羅刹鬼が住むような所に漂着したとしても、心から観世音菩薩と唱えたならば鬼に殺されるようなことはない)。次に「王の難」では「臨当被害 称観世音菩薩名者 彼所執刀杖 尋段段壊 而得解脱」(当に処刑されようとする時、心から観世音菩薩と唱えたならば、刀やこん棒は壊れてしまい、苦境から解放される)。次に「鬼の難」では「夜叉羅刹 欲来悩人 聞其称観世音菩薩名者 是諸悪鬼 尚不能以悪眼視之 況復加害」(夜叉や羅刹がやって来て、人々を悩ませ危害を加えようとしても、心から観世音菩薩と唱えたならば鬼たちは殺気に満ちた眼で見ることができず、ましてや危害を受けることもない)。次に「枷鎖の難」では「?械枷鎖 検繋其身 称観世音菩薩名者 皆悉段壊 即得解脱」(手枷足枷をされ、鎖で繋がれようとも、心から観世音菩薩と唱えたならばたちどころに壊れて苦境から解放される)。そして最後の「怨賊の難」では「齋持重宝 経過険路 是菩薩 能以無畏施於衆生 於此怨賊 当得解脱」(沢山の宝物を持って危険な山道を行くと、盗賊に襲われる可能性があるけれども、観世音菩薩の名を唱えることによって勇気が与えられ、怨賊の苦境からも解放される)。

以上の七難からでさえ南無観世音菩薩と一心称名することにより、観世音菩薩は威神力をもって私たち衆生を救って下さるのだと、世尊はお答えになりました。

(梅村敏明)

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