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出開帳と御砂踏

東日本を襲った大地震、それにより起こった大津波。亡くなられた方、1万5,854人、今だ行方不明の方、3,155人、避難されている方、34万3,935人(3月11日付け朝日新聞)。これほどの大災害は数百年に一度起こるかどうかなのだそうですが、それが平成23年3月11日、午後2時46分に発生しました。当時、観音堂におりました私もお堂が揺れたのを感じ、テレビをつけて事の深刻さを痛感したものです。震源から1千㎞も離れた大津の、しかも大きなお堂でも揺れを感じたのですから、東日本各県の天地鳴動はいかばかりであったのか、想像に難くありません。

西国三十三所札所会では地震と津波の犠牲となられた方々の慰霊と被災地早期復興を願い、3月6日より8日までの三日間、宮城県総合運動公園グランディ21総合体育館におきまして、札所全寺院が出席して「東日本大震災物故者慰霊法要並びに災害復興祈願出開帳御砂踏法要」が奉修されました。私も三井寺を代表してその一員に加えていただき、ご回向と復興祈願をいたしました。

出開帳とは本来お祀りされています寺院以外の場でご本尊を公開することです。ただし、今回の出開帳はご本尊の御影(ご本尊を写しとった絵画)となりました。写真を見て頂ければお解りのように、各札所のご本尊のお軸が架けられた前に蓮台があり、その中央に各札所のお砂が埋め込まれています。西国札所から遠く離れた被災地の方々が一番札所の青岸渡寺から三十三番の華厳寺までのご本尊をお砂を踏みながら拝し、犠牲者のご冥福を祈っておられました。その回向の功徳は必ずや届いていることだと確信いたします。

願以此功徳 普及於一切
  我等與衆生 皆共成仏道(梅村敏明)

 



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