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御札焼 昨年寺院から授かったお守りやお札、氏神さんから授かった祈祷札。古いお守りやお札はどのように処分したらいいのでしょうか、とのご質問をよく戴きます。また、子供が永年可愛がってきた人形も、当人が大きくなって、近頃では場所を取るばかりで困っています。かといって一般ゴミとして処分するのも不憫でなりません等の問題も起こってきます。 寺院や神社から授かったお守りや祈祷札には宗教的な儀礼が行われているわけですから、そこには仏や神の分身が宿っておられ、粗末な処分はしたくないという心情は当然といえるでしょう。人形にしても、片時も離さず可愛がってきたのですから、情が移って当たり前です。 では、不用となったこれらの「物品」はどう処分すれば良いのかということになります。 当山では毎年7月の第2土曜日の午後に「御札焼」行事を行っております。四方を結界された梵場にお焚き上げされるお守りや祈祷札がうず高く積み上げれ、御導師により次のような表白(ひょうびゃく)(法要の趣旨)が読み上げられます。 「謹ミ敬ッテ 今此等の尊札に白(もう)シテ言(もう)サク 倩々惟(つらつらおもんみ)レバ 往昔開眼供養シ給ウテヨリ以来(このかた) 三身万徳ノ妙用ヲ具足シ 利益衆生ノ巨益ヲ施シ給ウラン 然レドモ今 尊札等ヲ梵焼焼却シ 世塵ニ供シテ法性ノ果位ニ送リ奉(たてまつ)ラント欲ス 乞イ願ワクハ 此等ノ尊札等 本性ノ本宮ニ還帰シ給ワン事ヲ」。要約しますと「その昔、開眼されて、私達に利益を与えて下さいました。しかし、古くなったので焼却します。どうか魂は本来の場所に帰っていただきたいと思います」。 最後に御導師によってこれら尊札を撥遣(はつけん)(魂を抜く)する真言と作法が行われます。 以前ちょっと変わったお焚き上げの依頼品がありました。それは結婚が決まった女性からのものでした。昔、付き合っていた彼氏からの手紙や一緒に旅行に行ったときの記念写真、誕生日にプレゼントされたバッグなどです。彼女にしてみれば新しい彼氏と結婚するのですから、元彼との思い出のものは今や不用品です。しかし、自分で焼却したりゴミとして処分するのも心が痛むということで、「お焚き上げ」の依頼となったのです。 今年の「御札焼」は終わりましたが、不用となった古札や人形は通年受け付けております。 燃えさかる炎には色々な想いが交じり合っていて、そして魂は本宮に還帰するのです。(梅村敏明) ・「仏教豆百科」一覧に戻る ・「教義の紹介」一覧に戻る |