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真理を仰ぐ(七猿歌より) 新聞に春の海景色。鳴戸海峡の大渦潮と、その間近を巡る観潮船が鮮やかな色刷りで報じられている。
この巨大な渦を、人の世の煩悩と見たてたならば、間近の小舟はその轟音と荒ぶる渦に動転し、進路を過ち渦中の舟となるかも知れない。 もし、大舟の甲板から見おろせば、渦の規模と回転の速度、移動の方向を見定めて、怖れることなく迂回して針路修正を計るだろう。 もしも飛行船から見渡せば、海峡の地理と潮流、渦の発生状況や自然消滅の海域を観察し、さ迷う小舟を波静かな舟着き場へと誘なうことだろう。 衆生の煩悩に限りはなく、ものごとの道理が見渡せず、誤まった解釈や偽りの相にとらわれて、身心を悩乱し、その精神作用で一層の業を深め、迷いの縁をぐるぐる巡る。 法華経を説き終えられた釋尊は、「一切衆生悉有仏性」『涅槃経獅子吼菩薩品』一切の衆生は生れながらにして、ことごとく仏性があるのだと、のちの世までも道の明かりをともして下されている。煩悩も迷いもすべてが真理のあらわれとして。以下次号へ続く 遊心庵主・岡部善惠
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