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地球規模で加速した熱帯雨林の年間消失面積は、インドネシアの五〇〇〇平方キロを始め、タイ、マレーシア、インド、フィリピン等、世界で失われた約六分の一がアジアの森林であるという。

一九六〇年代、緑が国土の六〇%をつつむフィリピンは、僅か二十年程で二十七%にまで減少し、その七割の輸出先が日本であったとのちに知った。日本は世界の熱帯材の約半分を輸入し、その木材の四十%が南洋材と呼ばれる熱帯材で、大半は建築現場等での基礎工事に使うコンクリートの木枠やベニヤ板、家具や内装工事にと使用目的は広い。

一九七四年の国連のある会議宣言は、豊かな少数者が資源を浪費して、貧しい人々の生活や地球の環境を脅かしていると述べられたとある。その活字を目にしたとき、京都へゆく路面電車の中での会話が思いだされた。二両編成の満員電車。たどたどしい日本語で連れの人に語りかける内容は、傍らに立つ私にもとどいてくる。「日本に来て一番の驚きは、多くの山の豊かな緑。なぜ他国の木を欲しがるのか自分には理解できない。日本は自国の緑を守るため、他国の森林を破壊するなら、それは地球の白蟻と同じ」。

(以下次号へ続く)   


遊心庵主・岡部善惠




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