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グリーン・コンシューマー 思い返せば一九五五年頃の日本の農業は、化学肥料と害虫駆除のための薬品消毒に頼る収穫が主流となっていった。田畑の地力が痩せ衰えることも、胎内に蓄積される農薬汚染の怖さも知らないままに。 めざましい戦後復興は、テレビの普及と共に、大都会に林立するコンクリートジャングルと言われたビル建設、文化住宅、団地造成の建築ラッシュに続き、自動車産業に並行した道路建設。レジャー施設やリゾート開発が盛んとなり、一層大規模な森林伐採や環境破壊が各地で問題となっていた。 忘れもしない一九六八年、機内から眺めた愛媛の霊峰・石鎚山の山腹は、鋸で真横に切り裂いたかのようなスカイライン・ドライブウェー。その路肩には、工事のために生じた夥しい幾筋もの崖崩れの痕。山の緑を麓まで掻き下ろしたような剥きだしの山肌は、山が流した血涙のようにも、また、工事の中止を訴えた人びとの、石鎚への悼みの象徴にも思えて山が滲んで見えなくなった。 当時、私は何も知らなかった。自国が必要とする輸入木材は、マレーシア始め、インドネシア、フィリピン等の熱帯雨林を世界一破壊していたことなど。 (以下次号へ続く)
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