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井浦新さんからのメッセージ 桜も満開を迎えようとする四月上旬、俳優の井浦新さん演出による国宝・光浄院客殿の灯りのインスタレーション「春燈」が開催された。 これは宗祖智証大師生誕一千二百年を記念して、井浦さんが光浄院客殿から感じとられた光と影が紡ぎだす「陰翳の美」を表現されたもので、古来からの日本人の美意識を現代に再現する試みであった。 開催二日前、設営が始まった。作業は深夜にまで及び、井浦さんは熱心に取り組まれていた。次の日も作業は夜遅くまで続き、私は正直そろそろ切り上げてほしいと思っていた。休憩中のこと、井浦さんが息子さんに電話で「お父さんは、いま大事な仕事をしているので帰れないけど、とても頑張っているよ」と話されている声が聞こえてきた。 最終日、私が光浄院の受付に座っていると、素晴らしかったのでまた見に来ましたという方がおられた。井浦さんの熱意は確実に人々の心に届いていたのである。それは私にとっても井浦さんと共に準備にかけた時間を忘れさせてくれる瞬間でもあった。 西坊信祐 ・「法の華」一覧に戻る ・「教義の紹介」に戻る |