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戦後七十年 三井寺の年中行事には、沖縄戦や原爆で犠牲になられた人達の慰霊法要がある。これらは先の一六二代長吏が恒久平和を願って始められた法要だ。 私は戦争とは無縁の時代に生まれ、その現実も知らない。小さい頃、祖父や祖母から、よく戦争の話を聞かされたが、物語のような感覚で聞いていた。 いま、国会では「安保法案」が成立しようとしている。これによって、アメリカなどの密接な国が攻撃を受けた際、日本の自衛隊が一緒に戦えるようになるという。これまで、自分の中で物語だった戦争が現実に起こるかもしれない。 戦争体験者は言っていた。一度の空襲で、住み慣れた家を失った。毎日話していた近所の人や、いつも元気に遊んでいた子供たちの姿はなくなった。親しんだ景色は地獄に変わっていたと。 六月二十三日、「沖縄戦没者慰霊法要」の日、三井寺では、安保法案廃案を求める声明文を発表した。法要のあと、当代一六三代長吏は「戦争は悲惨な思 いを生む。二度とあってはならない」と、体験談を交えて話された。 今年は戦後七十年に当たる。この節目に、特に、私の世代は、戦争の知識を深め平和について考える機会にしなければならないと思った。 西坊信祐 ・「法の華」一覧に戻る ・「教義の紹介」に戻る |