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暁天講座 三井寺では、夏の恒例行事となった暁天講座を毎年八月一日から三日にかけて開いている。早朝六時になると金堂に人々が三々五々集まってこられる。法楽のあと、一山の僧侶による説法がはじまる。今年はお釈迦さまや阿弥陀さまにまつわる話だった。聴聞された方々は、心地よい朝の一時を過ごされた様子で、説法のあと、講師を囲んでお粥を食べながら、和やかに談笑されていた。 この行事をはじめたのは、祖父の敬全だった。祖父は平成二年から平成五年まで講師をつとめ、その半年後に亡くなった。葬儀の時、「お話が面白い人だった」と聞いた。祖父は日頃から金堂で参拝者に説法をしていたという。小さい頃、伊賀の両親のもとで暮らしていた私は、夏休みになると三井寺に遊びにいき、祖父のとなりでお守りを売る手伝いをしたことをおぼえている。 二十七年前、よろこびに満ちて人々に語りかける祖父、黙々とお粥の準備をしている祖母、苦労を共にした今は亡き二人の姿が思い浮かぶ。行事の前にお堂の準備をしていると、孫の代まで続いた行事が今後も続くよう努力したいと思う。 西坊信祐 ・「法の華」一覧に戻る ・「教義の紹介」に戻る |