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遠い日の思い出
終戦後、私は三井寺山門前にあった滋賀地方世話部経理課に勤務しておりました。昼休みには疏水の土手で四季折々の景色を眺めながらお弁当をいただくのが一番の楽しみでした。
結婚、育児と時は流れ、ほっと一息ついた時「お茶に来ない」とお誘いを受け、三井寺山内の故上辻先生のお宅にお招きいただきました。先輩のお点前が終わると、問答がありました。お点前は「掬水点前と申します」。お心は「水を掬すれば月手にあり、花を弄すれば香衣に満つ」とお答えになるのをお聞きし、訳は解らないけれど、今まで耳にした事のない何か心に泌み入るような美しいお言葉に魅せられてお稽古を始めさせていただき、早三十数年の月日が経ちました。
その後、服部先生にご指導頂き、博識な先生のお話や、お稽古にお見えになる方達との出会いが楽しみでした。残り少なくなった人生ですが、三井古流にご縁を結ばせて頂いたこと、宗家、お世話下さる方々に感謝する毎日です。
三井古流煎茶道 大津分会 中川智恵子
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