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寂 静 照 明 この度、長吏猊下、祥壺宗匠が上梓された『いのちの食味』を拝読し、人として生かされている「いのち」の原点を見つめなおす機会を得ました。昨今はなぜか間違った生き方をする人間が増え、問題視されていますが、「食」とは人が良くなるためのものだと聞いています。私は、喫茶もその線上にあり、またとない修行の場と心得ています。
私事ですが、昨秋突然生存率五パーセントといわれる病に罹りました。ICUのベッドの上でずっと私の心を支配していたもの、それは「凡そ法は和して争わず、是を〈寂〉と云う。争わなければ念を動かすことなし、是を〈静〉と云う。感情を離れて理に違せず、是を〈照〉と云う。理に違せざれば暗きことなし、是を〈明〉と云う」でした。なぜかわかりませんが、三井古流「寂静照明」のお心でした。 そして、奇蹟といわれた生命をいただきました。 今は、いつかは卒業する日のために、人間向上の修行をおろそかにせず、生かして下さった多くの人々、その他いろいろに思いを馳せ、み仏に感謝する充実した心の日々でありたいと願っています。 三井古流煎茶道愛媛分会 佐々木由子 ・「喫茶得道」一覧に戻る ・「教義の紹介」に戻る |