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釈迦十大弟子(一)

傑出した門下生のことを高弟、高足、四傑、四天王、十哲等々と形容しますが、 お釈迦さまのお弟子のなかで、10人の優れた人達のことを指して「釈迦十大弟子」と申します。 彼らは綺羅星のごとく教団内で偉才を放ちます。

いわゆる智慧第一の舎利弗(しゃりほつ)、 神通第一の目連(もくれん)、 頭陀第一の摩訶迦葉(まかかしょう)、 天眼第一の阿那律(あなりつ)、 解空第一の須菩提(しゅぼだい)、 説法第一の富楼那(ふるな)、 論義第一の迦旃延(かせんねん)、 持律第一の優波離(うばり)、 密行第一の羅喉羅(らごら)、 多聞第一の阿難(あなん)の各尊者です。

それでは、各尊者の人となりを見ていくこととしましょう。

舎利弗尊者(サーリプッタ)

舎利弗尊者はたいへん裕福なバラモンの家系の生まれでありました。 幼名をウパティッサといいます。親友のコーリタ(後の目連尊者)と祭見物に行った折、 狂喜乱舞し祭に興じている人々を見て、 100年後にはこの人達もこの世にいないであろう無常を感じ、 そのことをコーリタに打ち明けると、彼もやはり同じことを感じていたのです。 このことが二人の出家のきっかけとなりました。

はじめはサンジャヤのもとで修行し、彼の説く教説はすべて理解したけれども、 心の安らぎは得られなかった。もっと深遠な心の安心(あんじん)が得られる教えがきっとあるはずだ。 それが見つかったときはお互い知らせ合おうと約束しました。

ある時、舎利弗が街で修行僧を見かけ、 「あなたの清々しい立ち居振舞いに、私は惹かれてなりません。 どうか教えてください。あなたの師は誰なのですか。 そしてその師の教えとはどんなものなのですか」と尋ねると、 「私の師は釈尊です。しかし、比丘となってまだ日も浅く、 詳しくその教えを説くことはできませんが」とことわって、偈文をもって釈尊の教えを述べました。 「諸法は因縁より生ず如来(釈尊)はその因を説き給う」。 それを聞いた舎利弗は、釈尊の教えがいかに優れたものであるか、たちどころに理解しました。 さすが智慧第一と称される所以でしょう。舎利弗は急いで目連に知らせに行きました。 探し求めていた師が見つかったことを。 目連も舎利弗から偈文を聞き、釈尊の教えを理解し、二人は釈尊の弟子となることを決意したといいます。

ほどなくして舎利弗は阿羅漢果(あらかんか:悟り)を得、 教団内においては、釈尊をして「私の教えを十分理解し、また衆生に対し教えを説く者である。 従って彼は、私の次の席を得ることができるのです」と言わしめるほど、 智慧と徳を兼ね備えた、教団第一の尊者だったのです。




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