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呉音と漢音

在家の方が法事などでお坊さんが唱えるお経を耳にされるとき、どういった内容のお経を唱えているのか分からないという経験は少なからずお持ちのことと思います。例外を除いてお経は音読みの素読で唱えられることがその原因です。

音読みにも呉音と漢音があります。呉音は揚子江南部の下流域に3世紀に栄えた魏・呉・蜀の国(現在の蘇州・上海地方)で話されていた漢字音です。ですから呉音といいます。仏教が日本に伝来したのは538年。朝鮮半島の百済の国からでした。当然のことながら経典は呉音で読まれていた訳です。しかし、7世紀から9世紀、中国は随・唐によって統一されます。彼ら北西部の民族が話す漢字音を漢音といいます。
桓武天皇は中国での標準語たる漢音を正式な漢字音(正音)と定める勅まで発令しております。しかし、当時の仏教界では慣れ親しんだ呉音での読み方が根強く残りました。今日、仏教語をほとんど呉音で読むのはその影響が色濃く残っているからです。

では、呉音と漢音とではどういった音の違いがあるのか見てみることにしましょう。まず数字をイチ、ニイ、サン、シイ、ゴウ、ロク、シチ、ハチ、ク、ジュウと読むのが呉音。イツ、ジ、サン、シ、ゴ、リク、シツ、ハツ、キュウ、シュウと読むと漢音。その上の単位の百、千、万は呉音で、漢音ならばハキ、セン、バンとなります。

次に釈迦如来、今皆さんは「シャカニョライ」とお読みになったと思いますが、それは呉音で読まれたからです。漢音で読むとどうなるかというと「セキャジョライ」になります。同じように、阿弥陀如来を漢音で読むと「アビタジョライ」、観世音菩薩は「カンセインホサ」となります。
 受話器を取ると「えんじょうじ」さんですか?と聞かれることしばしばです。いえ「おんじょうじ」ですが。電話の主は園城寺の園を漢音で読み、城寺を呉音で読まれたことになります。

呉音で読み始めたならば、呉音で統一し、漢音で読み始めたならば漢音で統一するのが原則です。最澄は漢音読み、空海、円仁、法然、日蓮等は呉音読み、円珍、親鸞は呉音で読んでも漢音で読んでも同じです。そこで、私の法名・敏明の場合はどうかといえば、敏の呉音はミン、漢音はビン、明の呉音はミョウ、漢音はメイです。つまり私の法名は漢音と呉音読みの混合型ということになります。
ホーホケキョ(法華経)。もし、鶯が漢音で囀ったならば、ハーハカケィ。
 次号では呉音、漢音で読むお経について書くことにします。(梅村 敏明)




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