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梵音具(二)

今回は、木魚と法螺についてお話しようと思います。

 まず木魚ですが、本来は竜頭魚身でまっすぐの形に造られた魚板で、食堂(じきどう)や庫裡に吊り下げ、食事の時を知らせるものであったと言います。また、寺内に時を知らせたり、寺僧を集めるための用具としても使用されたようです。後になって現形のように、二頭の竜もしくは魚が頭と尻尾を接する丸い形となって、法具として読経の折り、速さや調子を取るために打たれるようになりました。基本的には一字一打です。木魚に適する材は桑、楠、樫です。

 では、なにゆえ魚なのでしょうか。
『敕修百丈清規』(ちょくしゅうひゃくじょうせいき)法器章第九の木魚の項に「相傳云。魚晝夜常醒。刻木象形撃之。所以警昏惰也」とあって、要約しますと「魚は睡ることがないので、その形を木に刻んで、これを撃つことにより、夕方のたるんだ気持ちを警めるのだ」と。つまり、魚のように睡らず修行に励みなさいということなのでしょう。確かにコックリしながらでは、規則的なリズムで木魚を打つことはできません。

 余談ですが、「木魚講」という組織があるそうです。これは頼母子講の一種で、講員が掛金をし、講中に葬儀が生じた場合、一定額が支払われるというものです。また、葬送の時には、講員が木魚を首から提げて打ち鳴らし、他の講員はそれに合わせて念仏を唱え、死者を送るのだそうです。

 法螺貝はフジツガイ科の巻貝で、南洋の海域に広く分布しています。梵音具としての法螺を作るには、貝の内部を取り出し、細く尖っている部分を削り、穴をあけて金属製もしくは木製の吹口を取り付けます。その吹口から空気を送り込み、振動させることによって音を出します。

 修験道に法螺はかかせない法具です。行者の入峯修行や採灯大護摩供に用います。寺門宗では毎年5月に大峰奥駈修行を行います。不思議なことに、行者がどんなに大声で叫んでも、木々に吸収されてしまって、声の届く範囲はしれているのですが、法螺の音は山を二つ、三つ越えて大峰の山々にこだまします。まさに、伝達用具として適しているといえましょう。

 それでは、採灯大護摩供の折りに唱えられる「法螺作法」の言葉を紹介しておきます。

「それ法螺とは、三界の天衆を驚かし、六道の妄夢を醒(さま)して、中道不生の覚位に帰せしめんが為のものなり。是れ則ち金剛(ばん)字の螺(かい)を立て、自性心蓮(じしょうしんれん)の尊(そん)を呈(あら)わすなり。螺は尊(そん)の御心(みこころ)を以て向う悪魔を吹き払う。三昧法螺聲(さんまいほらしょう)、一乗妙法説(いちじょうみょうほうせつ)、経耳滅煩悩(きょうにめつぼんのう)、当入阿字門(とうにゅうあじもん)」。(梅村敏明)




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