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慈眼視衆生

宗祖智証大師円珍大和尚生誕1200年 を慶讃する大法会が昨秋の10月18日に 開白しました。最初の法要は西国14番 札所ご本尊の開扉法要です。当日は秋 一番かと思われるほどの快晴に恵まれました。この日のために準備を整えてきました我々にとりまして、これは仏天のご加護、大師の生誕法会を祝福して下さったんだと確信しました。

本尊開扉法要にお招きしましたご来賓で観音堂は満堂の随喜者で埋まり、その時を待っておられます。一方では袍裳七条袈裟(ほうもうしちじょうけさ)に威儀を正した御導師の長吏猊下並びに式衆、そして法会に華を添えるお稚児さんたちが市内の青龍寺を出発し、商店街をお練りして観音堂に向かっています。

お堂に到着後、係のお坊さんからご 本尊への献花のカーネーションを受け取り、神妙な顔つきで献花し、そして小さな手を合わせて一礼しました。

いよいよ御導師、式衆が入堂し、開扉法要の始まりです。長吏猊下がご本尊のお厨子の前に進まれ、封印を解かれて秘仏本尊・如意輪観音坐像のお扉が開けられました。平成22年4月18日、花山法皇1000年遠忌西国三十三所結縁御開帳のためご開扉されていましたお扉が閉扉されて以来、4年6ヶ月振りにご本尊との対面となりました。

私が観音堂に奉仕させていただくようになった平成21年4月から、5年半で二回の御開帳に立ち会える仏縁をいただいたことを光栄に感じました。ご承知のように ご本尊は三十三年ごとの御開帳が決められています。この度の御開帳は大師生誕1200年という慶事による特別開帳となり、次にお目にかかれるのは27年後となります。

それにしましても観音さまのお顔はなんと穏やかで慈しみ深いのでしょうか。「慈眼視衆生」、慈しみの眼をもって衆生を見守りと『観音経』にみえます。

ご本尊の熱烈なファンといえばお叱り受けるかもしれませんが、前回の御開帳の折に東京から実に11回もお詣りにこられたご婦人がおられます。サントリー美術館で開催しました「三井寺国宝展」会場で如意輪観音像と出会われ、この観音さまはどのようなお堂にお祀りされているのだろうかと、三井寺にこられたそうです。もちろん今回の御開帳にも開扉法要当日からお詣りになりました。このご婦人だけではなく、すべての参拝者に観音さまは「慈眼視衆生」で見守ってくださいます。

(梅村敏明)



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