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定めなき世を(七猿歌より) 法華経を説き終えられた釈尊は「一切の衆生に仏性あり」と約束され、滅後の人々の為に『涅槃経』をもって一大事の道理をお示しくだされている。
「諸行無常・是正滅法・生滅滅己・寂滅為楽」(無常偈)。因縁により成り立っている一切の現象は、生滅変化し、常に移り変って止むことはない。この大自然の理をよく覚り、生滅にとらわれる思いを断じるならば、心は寂静にして安穏なりと説かれている。 大乗仏教を広め、第二の釈迦と崇められた南印度の龍樹菩薩は『大智度論』に「因縁によって出来たものを私は空なりと説く。亦、仮のものと説く。亦、中道の義であると説く」と述べられている。 中国の天台智者大師は、龍樹菩薩の論述の流れを汲み、空、仮、中の三つの諦らかな真理を、重要な教理とし、法華経の真髄である諸法の実相、宇宙の道理を詳さに解き示してくだされた。 いま程無常の此の世を感じたことはない。私達の社会は、めまぐるしい情報に押し流されているかに見える明けくれとなり、釈尊の教えが今こそ人々の心に泌みわたらねばならない時だと焦る思いを懐く。以下次号へ続く 遊心庵主・岡部善惠
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