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二度とない人生だから(3) 詩人坂村真民さんの「二度とない人生だから」の前ページに掲載されてある「ベトナムの少女よ」を久しぶりに読み返してみると、三十年の永きにわたるあの戦争に関しての記事の内容や、現地取材、写真報道、意見発表した人の名前が次つぎと蘇ってきた。開高健、松本清張、野上弥生子、小田実、岡村明彦、堀田善衞。まだ若かった私は、彼の国の事情も理解できていないまま、日々のニュースの現状に胸ふさがれて、知人に「もう、新聞は辛いから読みたくありません」などと書き送ったことまで思い出した。 日本敗戦後まもなくからくすぶり始めたというベトナム戦争は、世界中が憂慮するなか悪化の一路をたどり、一九六三年六月、南ベトナムの仏教指導者ジッチ・ファン・ドス師は、尼僧を含む僧侶五百人と民衆注視の中、サイゴン目抜き通りで、政府の仏教弾圧に対して、抗議の焼身自殺を遂げた。見守る五百人の僧侶は祈祷を続け、政府が禁じている仏旗を広げ、民衆の前でデモ行進を行った。同日サイゴン市内で仏教僧一千人が集会を開き、政府に対し「弾圧の改善がなければ、非暴力運動をあくまでも続ける」と大会宣言をした。 以下次号へ続く
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