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二度とない人生だから(9)

二度とない人生だから 昇る日沈む日 丸い月 欠けてゆく月 四季それぞれの
星々の光にふれて わが心をあらい浄めてゆこう

二度とない人生だから 戦争のない世の実現に努力し そういう詩を
一篇でも多く作ってゆこう私が死んだら あとをついでくれる人達の為に
この大願を書き続けてゆこう

祈りの詩人真民さんは、二十五歳で大陸に渡り彼の国で高等女学校の教師を勤め、引き揚げ後も女学校の教壇に立たれている。同じ教え子にはあらずとも、ベトナム戦争に壮絶な抗議の死を遂げた多くの尼僧と、そのあとに続いた同年代の乙女達の痛ましい生涯に、どれ程の嘆きをかみしめられたことか。

『二度とない人生だから』の次の詩は僅か三十二文字の静かで短かい作品ながら、乙女達の死を末永く、清い一輪の花と咲かせて手向けとした、深い慰霊の志が慈雨の如く泌みとおっている。

ねがい
ただ一つの花を咲かせ そして終る
一年草の この一途さに触れて 生きよう
以下次号へ続く    


遊心庵主・岡部善惠




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