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花びらと色や香りをそこなわず
  ただ蜜味のみをたずさえて
  かの蜂の飛び去るごとく
  人の住む村々に
  智慧ある人はかく歩めかし
                       (法句経第四十九番)



法句経は、釈尊の数ある教説の要旨を短い詩の形 でまとめられた、真理の金言集とも言える教典で、 読み返すたびに何故か他の教典とは異なる、人間釈 尊の限りなく広い思惟、大自然の営みとそこに生き る、ありとあらゆる生命の平等、それを哀れみ慈し まれるが故に諭されるやさしさと厳しさなど、潮が 満ちてくるように胸に染み入る。

短い一編の詩に心深めるとき、自然の営みを無視 した人間の飽くなき欲望を最優先してきた環境破壊 の夥しい後遺症は、永く後の人たちが引継ぐ禍根と なった。
釈尊の眼差しは、花と蜂蜜の共存の関係のみなら ず蜂に学べのお諭しは、全ての命の繋がりに及ぶ大 自然の讃歌でもある。

(以下次号へ続く)   


遊心庵主・岡部善惠




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