満々と水を湛えた惑星は、三千万種を超える生命を宿し、月の向う側から静かに昇る。 世界で初めての光景、青く輝く「地球の出」。月探査「かぐや」は、多くの貴重な映像を送信し、先ごろ役目を終えて月面に果てた。

過ぎし世の、誰一人として目にすることのなかった、月の世界から見る人類のふる里。太陽を巡る命の星は、あまりにも美しかった。

嘆かわしいことに此の星の内状は、何処の国も重大な事態に直面している。地球規模の気候変動、環境汚染、戦争、テロ、飢餓、貧困、伝染病、犯罪の増加、薬物汚染、海水の上昇により地図から消える国や都市。正に経典に示す「五濁の悪世」そのまま。 世界地図に見る日本は、見落しそうな小さな島国。人口は世界の人口の約二％、熱帯材の輸入世界一。石油輸入量第二位。ごみ消却施設に至っては世界の約七〇％を保有。ダイオキシン排出量世界一。

「日本は地球の白蟻。日本こそが地球の癌細胞」。

過去に顰蹙(ひんしゅく)を被った折、申し訳なさと共に仏教国日本が、釈尊のみ心から遠のいているこの現実を前に身の細るような慚愧の念いに立ち竦んでしまった。