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あの日から一千日。放射能に汚染された故郷をあとに、未だ復帰の目途もたたず避難生活を送る人々は二十万人を越えるという。

年老いてのち、住み馴じんだ家や親しい人達と別れての他所での暮らしはさぞ侘しい事であろう。四季の移ろいには、懐かしい古里を心に描き、野の幸、山の幸、海の幸に思いはめぐり、夜見る夢は恋しい我家の風景かと見知らぬ人達の今が案じられる。

はや三度目の秋。無人となって荒れるにまかせる集落。雑草は丈高く生い繁り、荒野と化した広大な田畑の映像は見るに忍びなく言葉もない。

ある日突然、手の施しようもない事態に直面した人達の衝撃と戸惑い。否応なしの放射能からの脱出。幼い子供の健康への危惧。

長らく手塩に掛けた家畜に、飼料を与えられぬ苦渋の別れ。その哀れ。その悼み。その自責。
明日へも踏みだせぬ悲憤と絶望。

私達は、この様な現実を伴う電力を有難くそして便利に快適に誰もが暮らしてきた。地震国日本列島小さな島国。北海道から九州まで、五十四基もの原発と共に。後の世に「幾万年もの核のゴミ」を残す事をも省みず。

以下次号へ続く


遊心庵主・岡部善惠



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