昨春から田辺先生に再びお稽古をお願いしております。思い返せば、昭和五十三年、職場に教室を開設して、近藤先生にご指導いただきました。その後、田辺先生がご指導くださり、お茶会、施茶、研修会等で多くを学ばせていただきました。私はお抹茶の稽古をすこしいたしましたが、手順形式を覚えるのみで、正座も辛く上達しませんでした。しかし、三井古流煎茶道には、お点前ごとにお心があり、精神面でも深い教えがありました。

静かな教室でのお湯のたぎる音、反始の水の音にも何ともいえない趣があり、清談も味わい深く、これが本当の茶道だと思ったものです。数年後、教室のあったビルが解体され、稽古も出来なくなってしまい、稽古からも遠ざかっておりましたが、退職を迎え、時間的にもゆとりができ、再び田辺先生にお世話になることが出来ました。忘れてしまっている事が多い分、先生や教室の皆様にもお手数をかけています。私も初心に戻り、一から精進したいと願っております。

三井古流煎茶道　京都分会　山下嘉代