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誰家無清風明月(たが家か清風名月なからん) 四年前私は人工膝関節置換術という手術で四十日の入院と長期間の療養生活をしました。リハビリと孤独の日々が過ぎ、久しぶりにお茶のお稽古に寄せて頂いた時、私は目も眩む様な衝撃を受けました。
お茶大好きの方々の心の弾み、心地よい緊張感のあるお部屋、可憐で素朴なお花と季節のお軸、お点前される方の美しい手の動き。私は思いました「ああ、私にはこういう世界があったのだ」と。まともに正座出来ない私を先生は心よく受け入れて下さり、いつもの様にお茶のおこころを話して下さいました。 私は過去、家庭の都合で五回の転居をしています。比較的楽天的な私も、それぞれの家に淋しい思い出を残しています。でもお茶のおこころ、誰家無清風明月(誰の家にも名月はさし心地よき風が吹く大切なのは心の持ち方で幸せはいつも自分の心が決める)を思いおこす事で自分で自分を励まし勇気づけてきました。私は今、お茶所宇治で三井古流のおこころに生かされ、心温まる日々を過ごさせていただいています。 三井古流煎茶道大津分会 岡本タミ子 ・「喫茶得道」一覧に戻る ・「教義の紹介」に戻る |